松  

 松と人間との関わりはたいへん古く、古代社会の時代より受け継がれてきている風習に「門松」があります。
これは祭祀上の関係で、松が標木(しのぎ)として、歳の神ー正月神を迎える木とし、樹上に神霊が降臨する木とされていた理由からです。
   「角松」用の松は十二月十三日に山から切り出してくる地方が多い。この儀礼を「松迎え」とよんでいます。そして、一月の七日または小正月の終わる日まで松を立てています。
 本来は「樹木そのものに神霊が宿る」と根が付いたままの木を神の依り代として立てて「門松」とし、地方によっては土間に立てたり 大黒柱にたてるところもあるようです。 また、月々の朔日に家の中の神様へ松や榊を供えるのは この信仰の延長線上と考えられます。

  上記からは、松が家紋として取り上げられた理由の推測はむずかしいです。

  北野天満宮をはじめ全国各地に「回向の松」(ところによっては「影向の松」と書く)というものがあります。また、高僧が杖を、または武将が矢を大地に突き刺して祈ったら根が生えて大木となったとする伝説などで「○○の傘松」「○○の松」などという名の知られた松もありますが これらの伝説に共通していることが、仏教でいう「回向・影向の心」です。
  *広辞苑によると「回向」:自ら修めた徳を他にもふりむけ、自他共に極楽往生するようにすること。
  *松は「百木の長」:荒れ地でも枯れることなく たくましく生き 常緑を保っている りりしい木。
  *松は「貞木」:みさお正しく まじめ を象徴している木
  これらの意味するところを要約し「松」の図柄へ思いを込めて紋章に取り入れたのではないでしょうか。

 「松」の家紋には大きくわけて「老松・松葉・若松・松の実(まつかさ)」の四つに分けられます。
 松紋は、一株を描いたものが普通ですが、二株・三株・五株はその数によって二本松・三本松・五本松と呼ぶ。
「老松」の松紋はその枝を層状に配置し、その層は三層を普通とします。これを三階松といいます。そして、中央の枝が左に偏っているのを「左三階松」右を「右三階松」、三つが笠状に偏りのない形状は「三笠松」です。
 幹太く根周りにたくましさと落ちつき・安定感があります。
「若松」紋は、「子日松(ねのひのまつ)」ともいわれ、むかし、子日に引く松は幼松だったことからの呼び名です。老松紋との相違は、老松は狩野派の絵のようですが、若松紋は「枝葉」が主体で老松の様な層を成していない点です。
「松葉」は二葉の描かれたものが普通です。
「松毬(まつかさ)」紋は横から見たものと、真上から見たものとがあります。