柏(かしわ)

  柏はブナ科の落葉広葉樹で日本全土はもとより、朝鮮・中国に自生する。
柏は 春に若葉が出ると 香りが高く、餅を包んで「柏餅」にします。
柏は「堅(か)し葉(は)」から生まれた名で 古代から 堅くて広く 葉肉も厚いので 食物をのせるのに最適であった。
「炊ぐ(かしぐ)」=炊事をすること・食膳を司る者を 「膳夫(かしわで)」とよばれるのも 柏に由来するといわれています。
縄文時代から 狭い幅の葉は「炊ぐ」為の用具となり、葉の広いものは 炊いだものを盛 る容器または巻いて食物をいれる道具とされてきました。

  柏紋は その変形のバリエーションの多さ(およそ100種程)において「梅・梅鉢」「葵」 「桐」「片喰」などと肩を並べています。 これは「柏」紋を用いている家が多いからで、 見方をかえれば 全国的に広まっている家紋であることを意味しています。
 現在でも 宮中において大宴会の式典には 古式のままカシワを食器として葉椀(くばて) ・葉盤(ひらて)に用いている。それはひとり宮中ばかりでなく 柏を用いて祭事を司った 神社もかなりあります。
 筑前の宗像神社・瀬戸内の吉備津彦神社・尾張の熱田神社・西宮の 恵比寿神社などです。
宗像神社は海上守護の神で海人族の崇拝者は多く、神紋の三つ柏紋は海流のおもむくまま に神社の氏子たちが航海によって日本海沿岸へ分布しました。
 陸上での分布に大きく影響をもったと思われるものに西宮の恵比寿神社の「福神えびす舞 い」による普及がある。
元来「エビス」という語は辺境の地の異種族に対する蔑称であったといわれていますが、 転じて海浜に漂流・漂着したものにも呼称されました。ことにどこの漁村でも漂流死体を「流れ仏」 とか「流れ人」といって、これを拾うと必ず漁があると村をあげて喜び 鄭重に祀りました。 不漁が続くと「流れ仏がいたのに見過ごしたに違いない」と 祀られずに漂う予想の流れ仏 への功徳の意味と豊魚を願って祭礼を行ったようです。  海の幸という形での期待感が込められている祭礼です。事実漂流死体を追いかけてくる 魚群が彼らの目当てなのです。

 ご神体は「鯛をかかえたエビスさま」です。
西宮の恵比寿神社は「宣伝」に二人一組(一人が口上とお囃子、もう一人が人形を操る。 この人形が「えびす神」で漁師の服装をして釣りの所作が基本形)の神人舞いがある。 百太夫が芸能群を率いて諸国をめぐり「エビス講」のシステムを広めていった。

  恵比寿神社の神紋「三つ蔓柏」紋は恵比寿紋と呼ばれています。
「柏紋」に付いては 「あやかる」意味で神紋そのものを用いるのは畏れ多く若干の手直 しをして家紋とした「護符」的な実感を伴っていたと思われます。 「安心立命」につながるからです。