井筒・井桁  

  井戸の地中に入った胴筒の丸い部分を「井筒」と称し、これには木組みした「桶(おけ)胴」のものと、石胴のものとがあります。
   井戸の地上に出た上部を方形に木組みした枠のことを「井桁」とよんでいます。

  ということは、井筒が◯型で井桁は方形ということになりますが、井筒は必ずしも◯型だけでなく、方形のものも存在していました。
  しかし、家紋では井筒・井桁とも、◯型はなく、正方形の井型が「井筒」とよばれ、菱方形に隅を立てた形を「井桁」とよんでいます。

 「井戸」の部分が紋章として図案化されたのは、古代から集団生活を営む上で「清い水」「美しい水」のあるところは、大切な場所であり、汚してはならない神聖な場所であること、このことはどの時代でも同じであります。 そのような場所は、今でも「神」などを祀って、他の「水たまり」と区別しております。
  また、故意や悪戯をもって濁らしてはならない飲料のための水域だったわけです。
  これを記念して家紋とし、世の中の「いつも必要な人」となる心構えを表現したのではないでしょうか。

  日本各地にはそれぞれの由来の付いた古い井戸がたくさんあります。弘法大師の産湯になった誕生井や掘った井戸、姥が井、玉の井、石神井など ことさら井戸の発生の意義を記念するための由緒をもって語られております。

 また 一般的には井上・今井・河井・浅井などのように苗字に「井」が付いているから「井桁・井筒」を家紋にしたのではないかとも言われております。
   この流れで考えられることは、「井」文字から図形に転換されて紋章になった、といえるのではないでしょうか。 「井桁・井筒」紋は、戦国期(1500年前後)から諸処の武将が使用していたようですが、そのころには「井筒」と「井桁」の区別はなかったようです。江戸期に入ってからは苗字に「井」の字を使用している武将はほとんどといって良いくらい井桁か井筒紋を使用しています。井上・酒井・今井・物井・新井・折井・為井・長井・永井・井田・細井・平井・福井・玉井・・・・・・とたくさん有りすぎます。