家紋の解説
家紋百景のメールボックスでは、たいへん多くの皆様から種々のご質問をいただいております。
その質問の中でも、特に多いのが「家紋が持っている意味や由来」についてです。
紋帳には数多くの図柄が掲載されていますが、その説明となると解説書はたいへん少ない。
「家紋」が必要になるときとは、冠婚葬祭のときです。
*婚礼の式場を予約のときに、ご両家の家紋は と訊ねられ・・・・・?
*礼装の紋付きを誂えようとして呉服屋さんから・・・・・・・・・・??
*祭り提灯を注文しようとして・・・・・・・・・・・・・・・・・・???
*墓標を建てようと石材店から・・・・・・・・・・・・・・・・・・????
*五月の節句に幟を注文しようとして・・・・・・・・・・・・・・・?????
等々、通常はその存在さえかえりみなかった「家紋」ですが、いざ そのときに「これです」と示せなかったときには、自分の 家の大事なものを知っていなかった後ろめたさを感じさせてくれるのも「家紋」です。
「家紋」について調べていくと、今流にいえば「総合学科」に相当する幅広い分野を網羅していることがわかります。生活・歴史・社会史・風俗史・動植物学・信仰や宗教・地理等々の幅広い分野に関わっています。
「紋章」の歴史はその変遷の道程よりもその起因に興味をかきたてられます。
私は家紋に興味をもっているが肩書きの無いひとりの人間です。
ここに記載する内容は、多くの研究者の方々の努力によりまとめられた参考資料からの引用がほとんどであることをお断りしておきます。
意義:
家紋の選ばれた意義はその性質によって次の6種に分類されています。
1.尚美的意義
2.指事的意義
3.瑞祥的意義
4.記念的意義
5.尚武的意義
6.信仰的意義
初期段階においては、単に目立ちやすく識別しやすい「目印」にすぎなかったものが、時代が下るに従ってその種類が増加してくると、「簡単」なものでは済まなくなり、その時代々々の種々の影響を受け、意義にもとずいて定められ用いられるようになりました。箇々の説明の中に「尚美・指事・記念・・」の用語が出てきますがその意味の概略は下記の通りです。
次に個々の意義について簡単に説明します。
| 神 道 | 上は天照大神から始まり、下は氏神・産土神(うぶすなかみ)に至るまで「八百万の神」といわれるほど、その数は多い。しかし、これらの神々も時代によって信仰に盛衰があり、武家時代には弓矢の神として八幡宮、これに次いで熊野権現・諏訪明神・大三島明神・天満天神などは武人の崇敬を受けました。 従ってこれらの神々を信仰したものは、いずれも、その神使・神木・神草・神紋または神号を用いて家紋とし、冥護を仰ぎました。 |
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| 神 使 | 神の使者のことで多くはその神に縁がある鳥獣類を充てています。 阿蘇の鷹・春日の鹿・八幡の鳩・稲荷の狐・気比の鷺・松尾の亀・熊野のカラス等々。 |
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| 神 木 | その神社の境内にあり、その樹木をご神体もしくは神符としているものを指します。 杉紋がこれにあたります。 |
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| 神 草 | 神事等に用いる草をさします。 賀茂明神の「賀茂葵」や梶葉・柏葉紋です。賀茂神人より出た本多氏、賀茂明神の崇敬者である松平(徳川)氏が「葵」紋を用いています。 梶葉・柏葉紋は、お供え物を供するときその敷物に使用する器具として古代より用いられたことに因んでいます。古来から大社に奉仕してきた神官の家が家紋に用いています。 |
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| 神 紋 | 神社にて用いている紋章です。 信濃諏訪明神は梶葉、天満宮は梅鉢、出雲大社は亀甲と「有」文字、伊予大三島神社は折敷に三文字、肥後阿蘇神社は鷹の羽とうとうです。 この外、信仰心から神社に関する造営物や祭具を家紋に使用しているものも少なくありません。 千木堅魚木(チギカツオギ=神社の棟の両端に×に交差している木造物)、瓶子、注連縄(シメナワ)、御手洗、額、鳥居等は敬神の念のあらわれからと考えられます。 |
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| 佛 教 | 神道に比べてはなはだ少ない。 これはその備えている信仰の奥義が、神道が「現世、生きている今を対象にしている」のに対し、佛教は「来世、死んで後のこと=超現世的事象」を対象にしているからといわれています。 したがって、佛教関係で選ばれたものとしては概して現世的なものとなっています。 また、別な見方をすると、これら法具仏具を紋章とした理由の一つに、由来とか意義とかややこしいことは抜きにして形状が整っていて且つ優雅であったために家紋としたとの見方もあっていいのではないでしょうか。 |
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| 輪寶 | 大地の凹凸を平らにして、一切の障害を破砕するといわれているもの。 | |
| 星辰 | 七曜・九曜など妙見菩薩信仰の対象。 | |
| 卍 | 佛の胸前の相として吉祥萬徳が集まり、大光明を放つといわれている印。 | |
| 「無」文字 | 禅宗の信仰に因んでいる。 | |
| キリスト教 | 日本へ渡来して一時期九州から東北地方まで広まった信仰も、徳川時代に厳禁となり、今日まで伝えられている家紋は少ない。しかし、祖先が熱心な信者だった家々は、祇園守・クルス・十文字等十字架を模した家紋として伝えらています。 | |
| 儒 教 | 中国より伝来した宗教ですが、家紋としては易に基づく八卦・引き両・寿字紋等たいへん少ない。 | |
| 邪 教 | 迷信が巾を利かしていた時代には、人々の多くは邪教の法によって災害を逃れ、あるいは病苦を治癒し、延命招福を得られるものと信じました。阿部清明印・九字・籠目の家紋がこれにあたります。 | |
家紋の分類はその対称の素材を、あらゆる物象から取り入れているので、その種類は極めて広範にわたっています。
したがって、その分類法は現在では自然科学の分科法則に準じた方法が主流となってきました。
だが、本来は別なものなのに、呼称・名称に使用している字句の関係で他部門に入れられたケースなどがあります。「木瓜」紋や「赤鳥」紋がそれです。
尚、 個別の説明は、掲載項目が少ないのですが、順次整理しながら増やしていく予定なので、取り敢えず、現時点では下記リンクの項目だけです。あしからずご了承下さい。
「分野別項目」
| 分 野 | |
主 な 種 類 |
| 1.植 物 | 使用されている種類は動物に比して大変多く、西洋と比較した使用割合は正反対です。これは仏法が渡来して以来の国民性の相違といわれています。 | 銀杏・松・沢潟・稲・竹・笹・柏・梶・茗荷・梶・撫子・葵・牡丹・鉄線・椿・梅・桜・蔦・丁子・菱・桐・桔梗・菊・藤・虎杖・菱・橘・杜若・片喰etc. |
| 2.動 物 | 比較的多く用いられているのは哺乳類より鳥類と昆虫類です。 | 獅子・鹿・馬・兎・鶴・鷹(鷹の羽)・雁・鳩・雀・千鳥・亀・蝶・蛤etc. |
| 3.器材・器具 | 人の生活に必要な器具を包括して便宜上名付けた。 |
輪寶・祇園守・折敷・幣・鈴・弓矢・刀剣・軍配・陣笠・鍬形・弦巻・杏葉・轡・帆掛船・舵・櫂・車・団扇・扇・五徳・笠・州浜・綿・糸巻き・網・釘 ・鞠挟み・琴柱・算木・銭・赤鳥・鐶・矢・etc. |
| 4.建 造 物 | 器材類と異なり一定の場所に据えつけられ、移動使用ができないもの。 | |
| 5.文 様 | 幾何学式に直線と曲線を用いて図案化されたものと絵画式の文様とがある。 | 菱・割菱・引き両・目結い・折入・稲妻・山形・籠目・亀甲・鱗・角・巴・輪・木瓜・輪違い・蛇の目・渦巻き・唐花・くつわ・唐草・日足etc. |
| 6.文 字 | その文字は大体瑞祥的意義をもったもので字画も簡明で整ったものが選ばれています。 | 一二三五六八九十百萬大小月水天山川無林上中加吉卍巴長福井・・・・ |
| 7.符 号 | 文字でもなく文様でもないもので呪符を指す | 阿部清明印・九字 |
| 8.天 文・自 然 | 日月・星辰・波浪・雪・雲等を指す。 | 日・月・星(曜)・雲・霞・水等 |